出張セミナー (2024年度実施内容)

対象 主に高校1年生〜3年生(その他要相談)
実施期間 5月中旬〜翌年3月頃まで
受付締切 実施日の1ヶ月前までにお申し込みください。
時間 45分〜90分程度 ご指定の時間で実施いたします。
講義分野 農業、食品、環境、獣医療など
費用 無料
形式 対面またはWEB
その他 都合によりご希望の日時で対応できない場合があります。

出張セミナーのお申し込み方法

出張セミナー申込書
お問い合わせ先
電話 011-388-4158
メール koho@rakuno.ac.jp

出張セミナー講義内容

※以下の内容のほか、ご希望のテーマでオリジナルの講義を行うことも可能です。

A-01 自由貿易の推進で日本の食料・農業は大丈夫か?

相原 晴伴

日本の食料自給率は40%を下回っており、食料の多くを外国からの輸入に頼っています。また、日本の農業は、農家の高齢化や離農の増加によって、たいへん厳しい状況にあります。TPP(環太平洋経済連携協定)によって、ますます外国からの食料輸入が増え、このままでは、日本の農業はつぶれてしまう可能性があります。セミナーでは、日本、北海道の農業の変化や、スーパーなどでの輸入食品の販売状況を通して、これからの食料や農業をどうしたらよいか考えます。

農村地域において,太陽光,風力,バイオマスのような再生可能エネルギーを積極的に活用することは,地域の所得向上や農山漁村の活性化につながることが期待されています。誰もが安定的で,現代的なエネルギーを使えるよう,それぞれの発電方法と特徴を紹介します。また,それぞれの発電方法を比較して,エネルギーのあり方(エネルギーミックス)についても学びます。

バイオマスは,農林業現場や自然環境の多い場所では,最も身近でかつ普遍的に存在していることから,例えば牛のうんこや生ごみは農作物の貴重な肥料として利用されてきました。このようにバイオマスは,汚い,臭い,邪魔な廃棄物ではなく,適切に生産・利用すべき有用な資源であり,循環型社会の基本となるものです。まだまだ未知の可能性を有するバイオマスの魅力についてお話しします。

スーパーで売られている牛乳、実は季節や地域によって含まれる成分が大きく異なることを知っていますか?ウシが食べるエサには様々なものがありますが、エサの種類やウシの体調によっても、牛乳の成分は大きく変化します。ウシも私たちヒトと同じで、主食とおかずをバランス良く食べています。エサの種類やメニュー(組合せ)によって、牛乳の成分はどのように変化するのでしょうか。そのカギを握るのは、ウシの一番目の胃袋「ルーメン」に生息する微生物たちです。さあ、エサと牛乳の深い関係について、いっしょに学んでいきましょう。

みなさんは牛乳や乳製品は好きですか?ミルクは高栄養で、様々な料理に使える優れた食材です。それでは、なぜウシはヒトが食べることのできない草を食べて栄養満点のミルクを作ることができるのでしょうか?その秘密は4つある大きな胃袋にあります。特に1番目の胃袋は「ルーメン」と呼ばれ大量の微生物が住みついていて草の分解に貢献しています。草がミルクに変わる仕組みを知ることで乳牛のすばらしさに触れてみましょう。

みなさんは、酪農にどのようなイメージを持っていますか。牛にエサをやり、乳を搾り、牧草の収穫をする。確かに、牛を飼うことは、酪農家の日常です。しかし、もう少し広い視野に立つと、酪農というオシゴトには、大きなロマンが詰まっていることが見えてきます。酪農は、国民の食料を生産し、地域を活性化し、雇用を生み出します。このセミナーでは、酪農と、そこで飼われている牛の素晴らしさを”アツく”紹介します。

アグリビジネスとは、農業に関わる経済活動全般のことを指します。代表例としては農産物販売が挙げられますが、肥料・農薬・燃料の購買も、そして農産物加工もその一例として挙げられます。このようにアグリビジネスは幅広いのが特徴ですが、農業協同組合はそのほとんどに関わっています。しかも、他の会社と違って利益を追求しないため、農業者の財布に優しい組織です。農業協同組合がなぜそのような組織なのか、また具体的にどのようなことをしているのかを解説します。

北海道は他の46都府県とは異なる数多くの特徴を有しています。それゆえに、「北海道が大好きだ」という方、あるいは「北海道に住んでみたい」といった願望をお持ちの方は、結構いらっしゃるのではないかと思います。本セミナーでは、都府県にはない北海道農業の特徴を解説し、その魅力を皆さんにお伝えいたします。

一般的にウシ卵子は受精した後2細胞、4細胞、8細胞と細胞分裂を繰り返し、8-16細胞で一定時間発育を停止した後、分裂を再開して桑実胚、胚盤胞へと発生する。しかし、一部の卵子は受精後3-4細胞へ直接分裂し、その後、形態的に正常な胚盤胞へと発生する。このような分裂過程を辿った受精卵は正常なものと何が違うのだろうか。受精卵の発生過程を基に受精、細胞分裂および発生について学ぶ。

現在、ウシの体外受精による受精卵は食肉処理場由来卵子および経腟採卵した卵子を用いて作製されています。その受胎性に関連する初期卵割をタイムラプス映像をもとに観察し、より高い受胎性のある受精卵の選抜方法の開発について解説すると共に、体内から採取された受精卵と比較して体外受精卵の特性について紹介する。

イネの花粉からイネを誕生させる? そんなことができるの? 北海道の「ななつぼし」や「ゆめぴりか」はこれで誕生しました。新しい品種を誕生させるには、様々な技術を使って、私たちの食卓を豊かにします。最近のイネの品種改良の方法について紹介します。この模擬講義は,高等学校生物基礎の「遺伝子とその働き」,高等学校生物の「生殖と発生」「植物の発生」「バイオテクノロジー」の単元で取り上げられている内容と関連します。

無セキツイ動物を使った刺激に対する反応に関する実験から、動物の感覚から反応、行動について考えてみます。

いろいろな動物のからだのつくりとはたらきを比較しながら、進化についての理解を深めたり、命について深く考えたりしてみましょう。

食料自給率はどのように変化してきたのだろう? それはどうしてだろう?貿易自由化はどうして話題になるのだろう?貿易自由化と私たちの食料についての疑問を、簡単な経済学と統計の数値や事例を通して、一緒に考えてみましょう。

植物が吸収できる養分はほとんどが無機物(ミネラル)です。ところが、土壌の養分はほとんど有機物として存在しています。つまりそのままでは植物は養分を吸えないのです。ではどうやって吸っているのでしょうか。そこには、土壌の多様な生き物が関わっています。最新の技術で明らかとなった、植物の栄養の知られざる秘密をお教えします。

減肥をするにしても、農薬を減らすにしても、土づくりが大切だとよく言われます。土の地力が大切だともよく言います。地力は不思議な力です。どこからともなく養分が出てきて、植物を育てます。一体それはどこから来るのか、どうやって来るのか。どうやったら作れるのか。その深い魅力に迫ります。

最近ジェンダー、セクシュアリティ、LGBT、LGBTIQAP+といった言葉を聞くことが多くなってきました。国連人権理事会はLGBTの人権を重要な課題として位置づけていますし、国連サミットで決定したSDGsにはジェンダー平等の実現が掲げられています。でも、LGBT(LGBTIQAP+)の人権の確立やジェンダーやセクシュアリティの平等の実現はまだ遠い現実であるだけではなく、わたしたちはこれらの言葉の意味すらも正確には知らないのではないでしょうか。このセミナーでは、「性」(セックス・ジェンダー・セクシュアリティ)に関して正確に知ることを通して、「性」の多様性と平等性について一緒に考えてみたいと思います。

日本は世界でも稀に見る「宗教音痴」を抱えていると言われています。日本では宗教は怖いもの、怪しいものという思い込みがあるのですが、国際社会を見渡すと、全然違う宗教の顔が見えてきます。つまり、国際社会では宗教は生活の隅々にまで入り込んでいるだけではなく、生活そのものだとも言えるからです。もっとも、日本でも実際には意識することのないままに、宗教は生活の身近な場所に存在しています。このセミナーでは、ユダヤ教・キリスト教・イスラームという一神教を通して世界を見ることによって、グローバル化した国際社会を生きる視点を養い、そこからさらにこれらの宗教に起因するとされる宗教間対立の問題についても一緒に考えてみたいと思います。

日本農業は担い手不足や経営者の高齢化が深刻化していることから、国内ではスマート農業の取り組みが進められています。ここでは農業生産におけるロボットトラクタやGPSトラクタガイダンスシステム、乳生産におけるロボット搾乳や給餌などの自動化機械について特徴や利用方法、操作性について解説します。

持続的な農業経営を行うために、省力化や機械化が必要になっています。そのためには農作業の労働負担を測定したり、評価することが必要です。ここでは家畜の飼養管理作業やトラクタ作業など農業の生産現場で人が作業する際の姿勢や心拍数の計測から、労働負担の特徴や改善対策について解説します。

移動することも鳴くこともない植物は、病気と戦うこともないと思っている人が多いと思います。しかし実は植物も、自身を守るために様々な戦略を備えています。本講義では、巧妙に感染を試みる病原体とそれに対抗する植物との攻防について紹介していきます。また、耐病性品種を作ること、遺伝子組換え技術や農薬を使うこと、安心安全な作物とは何かについても、一緒に考えていきます。

我々人類は、大昔から様々な植物を食べてきました。では、病気になった植物は食べても大丈夫でしょうか。食べると危険な植物病、実は珍味の植物病、技術活用される植物病など、ヒトの生活と植物病との深い関係についてご紹介します。

北海道の道端に生えている草は、多くは牧草です。草って勝手に生えてくると思っていませんか?これが、つくろうとすると結構大変なんです。ここでは、北海道で牧草を作って酪農・畜産をすることの意義、牧草の種類と性質、それを草地として維持するための必要最小限の養分管理技術を、北海道の気象や土壌条件と関連させて解説します。意外に深い牧草生産の科学にちょっとふれてみませんか?

草地が水田や畑作などと最も大きく異なる点は、たくさんの異なる種類の草が一緒に生えて、それらが混ざって収穫物になることです。田んぼや畑にイネやムギやマメを混ぜて生やすことはしませんね。草地では、お目当ての牧草がいつも一番元気でいられるように、刈り取りのタイミングや放牧のやり方に様々な工夫を凝らします。草種間の競争をどのように制御するか?草地管理の表ワザや裏ワザを科学的に解説します。

牛って1日に何kgウンチやオシッコをするか知ってますか?100頭の牛を牛舎で1年飼うと、2000tを超えるふん尿が排泄されます。これをエサ作りの肥料として循環させるのが本来の酪農のあり方です。しかし、今、家畜ふん尿の管理がうまくいかず、環境汚染の原因になってしまうことが多くなっています。サケの遡るきれいな川を維持しつつ、酪農生産を持続させるための土地利用や草地管理技術について説明します。

土壌有機物(腐植)は大切であり、耕地では堆肥を与えることが推奨されています。その理由について、生産性と環境保全の視点から解説します。

水や空気と同じように陸上ならどこにでもある土。この土とは、どのようなものか、どのように利用するか、を探求するのが「土壌学」です。農業、食料、環境に深くかかわっている土壌学の世界をご紹介します。

北海道には農業を学ぶ高校が30校ほどあります。それぞれの学校の教育課程には、学校のPRをするとともに、各高校間で技術・品質の向上と地域の課題解決を目的に、各種行事・地域連携等が位置付けられ、食彩フェア・花フェスタ・小中高の連携事業など、特色ある取組が多く実施されています。こんな取組について歴史的な背景から、予算のことや実際の準備に関わる生徒・教職員の姿などについて紹介します。

「北海道を代表する野菜であるアスパラガス。でも地方別では九州のほうが多い!?」、「アスパラガスは西洋野菜、でも日本にも自生していた!?」、「ヨーロッパでは、トマトよりもアスパラガスの方が伝統野菜!?」など、意外に知らないアスパラガスの深い話を紹介しながら、園芸学の楽しさを知っていただきます。

トマトには、大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトなど大きさ別に呼び方が変わります。でも、トマトは大きさだけでなく、品種により色や形なども様々です。また、作り方でも味や機能性が大きく変わります。トマトのたくさんの魅力を紹介しながら、園芸学の楽しさを知っていただきます。

人と同じように作物も病気になります。「なぜ、病気になってしまうのか?」、「どんな病気に罹るのか?」、「どうやって、病気を防ぐのか?」など、身近な作物の病気を紹介しながら、作物保護学の楽しさを知っていただきます。

スマート農業というとドローンや無人トラクターなどの農業分野での利用が知られています。でも、スマート農業は、それだけではありません。基礎的な知見に基づいてインターネットや人工知能などの様々な道具を活用すると本当にスマートな農業ができるようになります。園芸分野における実際の研究事例などを紹介しながら、わかりやすくスマート農業についてお話しします。

牛は草食家畜であり、毎日多くの牧草を食べています。酪農家は、牛のエサを確保するために、牧草地から牧草を刈取り、貯蔵しなければなりません。そのため、収穫した牧草を乾燥、または乳酸発酵させ、長期間保存できるようにします。さらに、この作業の良し悪しによって、牛にとって美味しい草となるかどうかが決まってしまいます。なので、酪農家は牛の世話をし、牛乳を生産するだけでなく、牛が食べる牧草の生産や貯蔵も行う必要があります。このセミナーでは、牛が食べる牧草の貯蔵方法やそのメカニズムについて説明します。

日本では耕作放棄地の増加が問題となっています。地方での農業従事者の減少や高齢化にともない農地が管理されなくなり、荒れ果てています。耕作放棄地の増加は、近隣農地への鳥獣被害やごみの不法投棄が増加するだけなく、景観の悪化にも繋がります。この耕作放棄地を反芻家畜を用いて解消し、さらに家畜生産も行うという取り組みが日本各地で行われています。反芻家畜を用いた耕作放棄地の利用方法を学んでみませんか。

近頃、ニュースなどでヤギの話を良く耳にしませんか?実は最近、日本ではヤギの飼養頭数が少しずつ増えているんです。伴侶動物としての飼育、除草作業の手伝い、ヤギ乳の生産など。実はヤギは隠れた魅力がいっぱいあります。ここでは皆さんが知らないヤギの魅力について紹介します。

クローン羊ドリーの誕生は、世界中に衝撃を与えた。人類は、これまで不可能と思われていたクローン技術を使って1個の体細胞から生命を誕生させることに成功したのである。しかし、最初のクローン動物であるドリーは、普通の羊より早く死んだ。今日、新しい生殖技術はつぎつぎと開発され、人に役立つ物質をミルク中に生産する家畜さえも作り出されている。新しい生殖技術の開発は「夢の新技術」となるのか、人類に何を与えるのだろうか?

受精卵移植技術などの繁殖技術を駆使すると、泌乳能力や産肉能力の高い牛を効率的に生産することが理論的に可能である。実際にはどのようにすれば“良い牛”づくりの夢が実現できるのだろうか? 受精卵移植技術、体外受精技術、雄雌の産み分け技術などの技術を理解して、“良い牛”づくりのプログラムを設計する。

農業高校の野菜栽培ハウスにおいて、冬期間を含めた(化石エネルギー由来の補助暖房を用いず)葉菜類(ホウレンソウ、コマツナ)の周年栽培を実現する省力的な管理技術(堆肥と有機質肥料を併用した施肥、多量かん水による水管理、不耕起による耕耘管理)の実践事例を紹介します。

農業高校の畑作栽培圃場において、土壌管理法「省耕起」を導入し、堆肥と有機質肥料を併用した肥培管理や耕耘管理の一部を省くことによる省力化と省エネ化を実現する栽培管理技術の実践事例を紹介します。

牛は放牧地の草を食べ、牛乳を生産するとともに糞尿を草地に落とします。その肥料成分を牧草が吸収して再生長し、その草を再び牛が食べます。すなわち、放牧地では土-草-牛を巡る物質循環が成立しており、その中で生産される牛乳は通常の農作物同様、草地という畑からの生産物であるといえます。しかし、どれほどの方が「牛乳は土から作られる」という認識をお持ちでしょうか?また、多くの方がお持ちの酪農に対するイメージ=放牧:「広大な草地で牛たちがゆったりと草を食み…」は、我が国では、実は非常にマイナーな牛の飼い方であるという事実、ご存知でしたか? 本セミナーでは、環境保全型酪農を行うための究極のツールともいえる“放牧”について、本来の意義とそのメカニズムについて解説します。

家畜は古くから世界各地で様々な形で飼われてきており、乳・肉・卵など「食」の供給のみならず、「衣」および「住」においても、人間の生活と密接なかかわりをもってきました。また、それら物質的な面のみならず、世界各地域の文化の形成に深くかかわってきました。しかし、現在の我が国では、多くの国民が家畜と接する機会もなく、畜産物の生産・加工がどのように行われているのかの見聞きする場面が少ないというのが現状です。本講演を通じて、これまでの歴史を振り返るとともに、現代に生きる私たちの生活と家畜の密接な関係について再認識していただければ幸いです。

これからの酪農は、牛にも地球環境にもやさしい物質循環に配慮することが求められます。酪農経営は、家族経営、大型企業経営、集中精密管理方式、放牧酪農など多様な経営が存在し、牛乳生産を担っています。家畜人工授精師は、これらの経営にあった特徴ある能力をもった牛を遺伝子情報など科学的なデータと優れた技術を駆使して貢献する仕事です。プロフェッショナルな仕事である家畜人工授精師の仕事を紹介しながら未来の酪農を考えます。

酪農と畑作は、必ずしも単独で成り立っているわけではありません。酪農は余剰なふん尿を何とかしたいし、畑作は土づくりに有機質資材を欲しがっています。酪農と畑作の協力関係で成り立つ地域内循環(敷わらと堆肥の交換や、畑作物粕類の家畜餌への利用など)は、お互いの利益になるだけでなく、地域の環境問題を低減しています。

搾乳施設(牛乳処理室やパーラーなど)からは毎日、搾乳機器を洗浄・消毒する排水が出ています。比較的きれいな排水もあれば、廃棄乳やふん尿を含む汚濁度合の高い汚染水の場合もあります。きちんと浄化処理している場合もあれば、垂れ流しているケースもあります。ふん尿の問題だけでなく、搾乳関連排水のことも一緒に考えてみましょう。

子供の減少や高齢化により衰退する農村地域が見られる中、新規就農者が多い地域では、定住する家族が増えることにより、地域の学校やお店が維持できるなど、農業が地域の振興に貢献しています。新規就農者が多い地域では、就農を支援する専門の職員が生活面も含めて相談に当たったり、研修農場などの受入組織も立ち上がっています。統計上、新規就農者数に含まれていない、農業者との婚姻がきっかけで農業をはじめる方も、地域の重要な農業の担い手です。農業を支援する組織(コントラクターや哺育センターなど)の増加も、家族経営を支えるだけでなく、地域雇用の増加にも貢献しています。本講義では、地域に密着して新規就農をコーディネートする方や、婚活を支援する組織の動きなどを紹介し、農業が地域に果たす役割を一緒に考えてみたいと思います。

畜産は、農業王国北海道の基幹品目であり、農業生産の6割近くを占めます。畜産と一口に言っても、対象とする家畜は牛(酪農、肉牛)、豚、鶏(ブロイラー、鶏卵)等多岐に渡り、それぞれの経営形態や生産される畜産物の流通も異なっています。本講義では、国内の畜産経営の種類と畜種別の経営形態、畜産物の流通を説明し、一般的な企業経営と農業経営(特に畜産経営)との違いを解説します。

貿易の自由化が進み、今やスーパーでも海外産の肉やチーズといった農産品を目にしない日はありません。TPPやEPAの発効は、私たち消費者の食卓をどう変えたのでしょうか。また、生産者にどのような影響を与えているのでしょうか。本講義では、近年ニュースをにぎわせるTPP・EPAの国内への影響について、基本的な関心を持ってもらうことも目的としています。

最近よく聞く「SDGs」。この「SDGs」とは何でしょうか。SDGsについての理解を深めていただき、高校生が取り組めることは何か、また、具体的にどのように実践していくのかを考えていきます。SDGsの取組をとおし、これからの社会の在り方を高校生の皆さんに描いていただきます。

英語のことがちょっとわかると映画を観るのがもっと楽しくなります。映画のタイトルには英語の工夫がいっぱいです。映画のタイトルを原語で読みながら英語のおもしろさを少しだけ実感してみましょう!

牛乳・乳製品は多くの栄養素を手軽に摂取することができる上に、さまざまな社会や文化に溶け込むことが出来る貴重な食品です。本講義では、牛乳・乳製品の活用法についてお話します。

人間は食べずに生きることはできません。雑食である我々は多くの動植物の命をいただいています。出来るだけおいしく食べることで、その命に感謝の気持ちや敬意を示すことに繋がるのではないでしょうか。では、そもそも「おいしい」とは何なのか、おいしさの本質について考えてみましょう。

農村では、ある人に関する情報が他の人に共有されるのが早いです(SNSを利用しなくてもです)。このようなことから一般に農村での人間関係、いわゆる”ムラ社会”という言葉は閉鎖的だと言われマイナスのイメージを抱かれがちです。一方で近年の経済学はムラ社会のこのような機能が農業や経済の発展に貢献した可能性を示しました。周りの目を気にしたり、空気を読むことが、どのような仕組みで農業や経済の発展に貢献するのか?ムラの複雑で濃厚な人間関係をどのように把握するか?これらについて勉強しましょう。

世界経済や私達の生活を支えるゴム製品の材料である天然ゴムは農産物です。しかもそのほとんどは熱帯アジアで生産されています。空からジャングルに見えるところもゴムの農園(プランテーション)だったりします。では誰が生産しているか?大規模な企業がゴムの木を整然と植え、生産している場合もありますが、実は小規模な農家の存在も無視できません。つまり皆さんが普段使っているゴム製品も材料をたどればアジアのジャングルで、小規模な農家によって収穫されたゴムにたどり着く可能性が高いのです。そこにはどんな課題があるのか?遠く離れた私達にどのように関わってくるのか?インドネシア、スマトラ島の農村でのフィールド調査から見えてくる途上国農村の貧困、さらには環境問題(森林伐採)について考えていきましょう。

経済の成長に伴い、東南アジアのインドネシアでは乳製品への需要が増大しています。インドネシアの東ジャワ州はインドネシア最大の酪農地帯です。学生と一緒に行った調査を通して、途上国の酪農経営を見てみませんか?」

地球温暖化に代表される気候変動はすでに農業生産に影響を及ぼしています。その対策にはCO2の削減と言った「緩和」に加えて、高温でも栽培できる技術の確立(これを「適応」と言います)が挙げられます。一方、スマート農業とは、オートメーション化(環境モニタリング情報を活用した温室の自動制御など)やIoT(環境や生育の情報をクラウドに集めて活用すること)を使って、より効果的な農業を行うことを指します。講義では、野菜や花などの園芸生産を題材にしてスマート農業による「緩和」や「適応」について説明し、ともに考えます。

観賞する目的で生産される木や草は観賞用植物(=花き)と呼ばれます。花き産業では消費者のニーズを満たすために、常に新しい品種が求められています。今までに見たこともない色や形、性質をもった植物はどのように作り出されるのでしょうか?遺伝子組換え技術やゲノム編集などに興味をもつ人もいることでしょう。この授業では先端技術をわかりやすく説明します。一方で従来の交雑育種法は植物育種の基本です。授業の後半では私たちが取り組む野生のミチノクヒメユリを活用した品種改良(異種間での交雑と植物組織培養を利用した雑種胚の獲得)を紹介するとともに、遺伝資源の重要性や新しい価値の創造について考えます。

アニマルウェルフェアに基づき乳牛を飼育管理することが、乳牛の健康や牛乳のおいしさにも影響します。アニマルウェルフェア評価は、生産される畜産物の保証であるとともに、生産者にとっては飼養管理改善のきっかけとなります。実際の評価法も紹介しながら、最新の酪農技術(スマート酪農)についても学びます。

牛の気持ちを理解すれば、牛への接し方を洗練化できます。牛の気持ちを理解して、牛の自主的活動を引き出します。牛の気持ちを理解するには、牛の行動を丁寧に観察して、数理統計モデルに当てはめ科学的に解析することがとても大切です。

畜産業の意義を踏まえ、環境負荷軽減・労働環境の改善・アニマルアニマルウェルフェアなどの取組は、生産性にも配慮しながら確実に進展しています。酪農場でのSDGs達成に向け、生産者が目指す飼養管理のポイントと取組の見える化の推進方法、さらに消費者が生産現場理解を醸成し協力すべき事柄について解説するします。

動物と心が通じ合うと思う人はたくさんいます。ペットと一緒にいると気持ちがリラックスしたり、落ち込んでいた気持ちが元にもどったりします。ウマに乗ることで、身体障害が改善したり、うつ状態が良くなります。虐待などで精神が不安定な子どもに家畜の世話をしてもらうと、気持ちを落ち着かせることができます。人と動物が接することで人、動物両者にさまざまな心理的な作用が生じます。それを研究するのが人と動物の関係学です。アニマルセラピー効果、ペットに死なれて落ち込むペットロスの問題、ペットショップの問題点、動物園の魅力的な展示、小学校の動物飼育による情操教育、ペットの側のストレスの問題について紹介します。高校生物の「自律神経」「交換・副交感神経」を発展させた内容です。

動物にも心があります。動物同士が助け合ったり、けんかしたり、ときにはだまし合うこともあります。一部の動物には他の動物に気持ちを伝え合う能力や、同情する心もあります。このような動物の心を分析するために、動物心理学はさまざまな実験を工夫してきました。本研究室でも、イヌのコミュニケーション能力の測定や、ハムスターの飼育環境と迷路学習能力の関係、ウシの性格測定などの研究を行っています。動物の豊かな心を示す科学的な研究を紹介します。高校生物の「習得的行動」[条件づけ」[慣れと鋭敏化」を発展させた内容です。

新聞などの報道によると、農家の数や農業を営む農業従事者は年を経るごとに大きく減少を続けており、新しく農業を志す者の数はごく限られています。これらの傾向を見る限り、農業経営は非常に大変なものと感じます。また、最近では資材や飼料が高騰しており、さらに厳しい経営環境にあるともいわれています。農業経営はいまどういう状況にあるのでしょうか。このセミナーでは、一般的な農業経営の収入と支出の状況をグラフなどで確認しながら、農業経営は実際のところ儲かっているのかいないのか、また農業経営が継続するためにどういう取り組みがおこなわれているのかを解説していきます。

わが国の農業経営の展開方向として、生産物を使って加工品を製造したり自ら店舗を設けて販売したりする6次産業化(6次化)が注目されています。しかし、6次産業化は加工販売の他にも観光やレストランなど多様な選択肢が存在していて全体的状況の把握や、その実現方法のイメージが持ちづらい分野でもあります。そこで、本講義では1.6次産業化の基本的な概念の確認する、2.農業の6次産業化を統計的に傾向を把握する、3.全国の先進的な事例をいくつか取り上げて紹介、をしながら4.農業の6次産業化に係わる研究の動向を把握、して5.先進事例や研究成果からみた6次産業化取り組みのポイントについて整理、解説していきます。

酪農の経営改善を仲間で進めてきた実例を参考に、多くの農家にとって経営の分析が重要なこと、単なる規模拡大だけではない多様な改善の可能性があることを示します。また研究室で開発して、農協で使われているコンピュータプログラムを紹介して、地域の酪農経営を実際に分析します。地域農業を分析して、改善を進めていくために、何が必要かを皆と考えましょう。

世界半数の人は小麦を主食としており、栽培面積も世界最大です。小麦はパン、ラーメン、うどん、クッキーなど多くの食品の原料です。日本人の小麦粉の消費量は米の約半分で、1日1食は小麦を主食としています。この小麦がどのように普及し、日本の食文化に溶け込み、現在の栽培や食文化に至っているか。また、日本における小麦作の問題点を紹介する。小麦ほどではないが、世界の各地方で役割を担っている大麦、エンバク、ライムギについても同様に紹介する。

トウモロコシは私たちが直接食べるスィートコーン、お菓子として食べるポップコーンから家畜が食べる飼料用トウモロコシまで、多くの種類があります。それぞれ特性と栽培方法が異なります。また、トウモロコシは共通して、他の作物にはない能力も持っています。そんなトウモロコシの魅力を紹介します。また、美味しいスィートコーンの作り方も紹介します。

マメ類はダイズ、アズキを中心に日本の食生活を支える大切な作物です。他の作物にはない特別な能力を持つ一方で、多くの弱点も持っています。どんな栽培をするとマメ類が高品質のものがたくさんとれるかを紹介します。また、インゲンマメ、ラッカセイ、エンドウ、ソラマメ、ベニバナインゲンなど・・・マメ類には多くの種類があります。これら多様なマメ類の個性と魅力を紹介します。また、エダマメとアズキを中心に美味しいマメの作り方を紹介します。

現在、日本の農業経営者の平均年齢は65才を超えて高齢化が急速に進み、また、人口減少社会で労働力不足はますます深刻化しています。一方、障がいのある方や生活困窮者は能力があっても十分に就職できていない状況であります。この両者を結びつけてWin-Winの関係をつくろうとしているのが農福連携です。今、全国的に農福連携の実践件数が増加しています。農福連携を導入して実践を進めていくと、地域が活性化し農業を通して共生社会と進めることができます。農福連携のすばらしさと実践する上での課題を紹介します。

遺伝の仕組みを学習しながら、DNAを抽出し、実際に観察してみましょう。

生物多様性における遺伝的多様性の位置づけとその重要性をゼンテイカ、オオサクラソウやエゾコザクラを例にあげ、わかりやすく解説するなかで、遺伝的多様性に配慮した個体群保全や環境復元の在り方について考える。また、緑化に用いられるミゾソバやハマエンドウを例にあげ、緑化における遺伝的多様性に関する理解を深める。

いま、農業は資材高騰、外国人研修生の確保不足、さらにはコロナ禍による消費の低迷から、市場経済に依存する大規模経営ほど不振に陥っているのが現状です。まさに海外からの輸入資材に依存した大規模農業経営存続の限界性を地域経済の在り方とともに、しっかり把握しておくことが重要になっています。その限界性を経営改善で克服できるのか、協同組合の支援によって改善の余地があるのか、自治体の振興策にまで至るのか、農村再生の視点で考えてみましょう。

美味しい牛乳や乳製品をこれからも飲食するためには、酪農家の方々に日常的に被害を与えている乳牛の職業病「乳房炎」のコントロールが必要不可欠です。乳房炎の問題点を紹介するとともに、乳牛を乳房炎から守るために酪農家や獣医師の方々が行っている取り組みを紹介します。

B-01 食品の開発方法について~北海道産鮭節の実用化事例を通じて~

阿部 茂

新たな食品の開発には思いつきやアイデアが大変重要ですが、それだけでは売れる商品になることができません。その商品が消費者に受け入れられるためには、商品が魅力的であることはもちろんのこと、消費者ニーズなどの社会的背景や、人の心に響く開発ストーリーなども必要になってきます。本セミナーではあまり利用されていなかったサケを主原料としてできた鮭節がどのようにして風味豊かな製品に生まれ変わったかについて分かりやすく解説します。

最近のコンビニ弁当や総菜は美味しいと思いませんか?実は「水の炎」といれる過熱水蒸気で食材を調理加工しているから色や食感が良く、しかも栄養成分も保持されているから美味しいんです。この「過熱水蒸気」とはいったいどのようなものなのでしょうか。過熱水蒸気は簡単に言うと、水を乾かすことのできる100℃以上の高温水蒸気のことです。「水で水を乾かす?」混乱される方もいらっしゃるかもしれません。でも、この特徴が色調保持や殺菌効果など食品加工において様々なメリットをもたらすことがわかってきました。ここでは過熱水蒸気の特性と食品加工に用いた場合の様々効果についてご紹介します。

北海道は日本最大の食料供給基地であることはご存じかと思いますが、最近の急激な温暖化や産業構造の変化、社会情勢の変化によって日本の「食」は今後さらに重要になってきます。本セミナーでは北海道の食の現状についてご紹介するとともに、それを支えている最新技術や現在行われている技術開発について、わかりやすく紹介いたします。

北海道では6次産業化やふるさと返礼品のニーズの高まりにより、各自治体が特産品開発に取り組む事例や、高校が地元企業と連携して新商品を開発する事例が増えてきています。でも、適当に特産品を開発しても消費者が「買いたい」と思わなければ商品開発は失敗してしまいます。本研究室は多くの企業や自治体、高校と連携して特産品の開発を行っており、本セミナーでは特産品開発の成功事例とともに「売れる商品のコツ、マーケットインの重要性」についてわかりやすく紹介します。

北海道では6次産業化やふるさと返礼品のニーズの高まりにより、各自治体が特産品開発に取り組む事例や、高校が地元企業と連携して新商品を開発する事例が増えてきています。ただ、中小企業や高校は製造する技術はもちろん持っているのですが、新商品を開発するとなると必要な知識、技術、加えて人手が足りないことが多く、アイデアを形にすることが難しいことがあります。本研究室では「学生による食品開発サポート」を行っており、特産品開発において技術的な支援を行っています。本セミナーでは開発サポートの内容および、これまでの取り組み事例を紹介します。(依頼も常時受け付けております。基本的に無料です。)

家畜の骨格筋は食肉として私たちの食卓を豊かにしてくれる大切なタンパク質源です。その食肉(骨格筋)ができるまでの過程を最新の知見を含めて筋細胞生物学ならびに食肉生化学的視点で説明します。骨格筋研究の醍醐味を知ってください。

新しい産肉生産システムとして、細胞培養によってお肉を生産するための基礎研究が海外で行われています。ヨーロッパでは、この培養肉について世論調査なども行われており、大きな話題となっていました。この培養肉の将来やその着想に至った背景などを説明します。世界の食糧事情を考えてみましょう。

「論理的に考えなさい」とはよく使う言い方ですが、実は論理には様々な種類があります。そして、それぞれの論理ごとに考えることができる範囲や細やかさが異なります。このセミナーでは、論理の違いによって分かることが異なるとはどういうことかを考えてみましょう。

野菜を食べて甘いと感じることがあります。甘みの主成分として砂糖が有名ですが野菜には砂糖以外にも甘さを示す糖があり、また甘くない糖(オリゴ糖、食物繊維)も含まれています。本セミナーでは甘い糖と甘くない糖の違いやこれらが野菜にとって、また、私たちにとってどのように役立つ成分なのかを北海道の主要農産物であるタマネギやアスパラガスなどを例に紹介します。

21世紀は、効率化優先の使い捨て社会から循環社会への転換が喫緊の課題となっている。食品流通の輸送包装容器も1回のみの使用(ワンウエイ)から何度も繰り返し利用できるリユース容器への転換が進みつつある。本セミナーでは、その流通の仕組みと優位性について、みんなで体験しながら紹介する。

私たちが毎日口にする食品には、タンパク質、糖質、脂質をはじめとする栄養素やおいしく「感じる」ための味、香り、色などを構成する成分、さらには加工・調理で発生する成分などさまざまな物質が含まれています。また、私たちの健康と関連して食物アレルギーを起こす成分や毒性のある化学物質などが問題にされています。そこで、何がどれだけ含まれているのかを知ることはとても大切になってきます。さあ、どんな「味」が出てくるか食品の中身を覗いて見ましょう。

食べ物の「美味しさ」は味覚成分(塩や砂糖など)や臭気成分(芳香族エステルなど)という化学的成分だけでは決まりません。視覚的情報(美味しそうな盛り付け)、聴覚的情報(パリパリという骨伝導で伝わる音)や触覚的情報も重要な要素です。触覚的情報とは「歯ごたえ」「舌触り」などの「食感」と呼ばれるものです。この食感は食品の物理学的特性と強い関連があります。本セミナーでは食品の物理学的(力学的)特性に関する研究例を分かりやすく解説します。

食品を分子レベルで眺めると非常に複雑な構造を持っており、その複雑さが「物理的な美味しさ」に強く関連しています。この複雑な構造を観察するツールとしてX線が利用できます。X線を利用するとナノレベルの構造に関する情報を得ることができます。このセミナーではピザのチーズがよく伸びる理由をX線によるナノ構造解析と力学特性を結び付けてわかりやすく解説します。

皆さんがよく食べるチョコレートは、油が冷えた塊「結晶」である、ということはご存知でしょうか?カカオ豆に入っている油が冷えて固まるときにできる油の結晶の種類によって食感が大きく変わります。また、生クリームなどと混ぜ合わせた生チョコレートは”普通”のチョコレートとは科学的に見ても大きく異なりますし、ココアは水分でチョコレートを混ぜた飲み物です。これらバラエティー富んだチョコレートについて科学的な観点で紹介します。

食品には「泡」を利用して食感を楽しむものが沢山あります。メレンゲは卵白を泡立てたものですし、ホイップクリームは生クリームをホイップしたものです。抹茶やビールも美味しいと感じるためには泡が必要ですよね?何故泡立つのか、その泡がどのように安定化するのか、は食品製造時に極めて重要になってきます。講義ではこのような泡ができて安定化する理由や、それを調べる科学的な取り組みについて紹介します。

内閣府の調査では、10代から30代の女性の19.1%、男性の10.6%が「交際相手から1度でもひどい暴力を受けたことがある」と答えています。暴力を受けると、みなさんの脳や心に大きなダメージが生じることも含めて、デートDVや暴力に巻き込まれないようにするための知識をセミナーのなかでお伝えしていきます。

朝の食卓には、牛乳があることが多いですよね。現代人に極めてなじみの深い牛乳。現在のように習慣的に飲むようになったきっかけや、そもそも牛乳とは何なのか、牛乳がどうやって作られているのかについてお伝えします。さらには、牛乳を飲むことでどのように体にいいのか、ただの白い液体が持つ、見た目をはるかに超える潜在能力について、最新の研究内容を交えて解説します。このセミナーを通して、より牛乳のありがたみを理解して頂ければ幸いです。

近年, 地球温暖化などの影響で北海道ではブリの漁獲量が増加し,年間漁獲量がおよそ1万トンを超えています。1990年以降日本近海のカツオ漁獲量が減少し, かつお節原料が不足していることから新たな節原料が求められています。また、食品業界では加工原料が高騰する中, ブリを無駄なく加工する技術開発が必要とされています。本セミナーでは小型ブリからブリ節への加工方法と節に加工した残りから風味の異なる2種類の発酵調味料を製造する無駄のない加工方法についての研究例を紹介します。

一般に食品は生産・加工・流通・調理等の段階を経て私たちの体の中に栄養素として取り込まれています。私たちが食するまでの各段階で食品の栄養成分は大きく変動しています。最初の栄養成分の変動は生産段階であり、国内で生産されている農作物、畜産物および水産物は遺伝学的、生理学的および環境的要因などによって栄養成分が異なっています。本セミナーではこれらの変動要因によって栄養成分がどのように変化し、美味しさと関係するかについての事例(寒じめほうれん草や雪下にんじんなど)をあげて解説します。

肉製品といっても色々な種類があります。その中で一般的に知られているハム・ソーセージ・ベーコンの作り方も日本農林規格(JAS)という規格で定義されています。また、部位や材料によって名称が異なります。このセミナーではハム・ソーセージ・ベーコンの製造方法を紹介するとともに肉製品のなぜ?をわかりやすく解説いたします。

なぜドーピングするといけないのか?ドーピングの検査システムはどのように実施している? 筋肉増強に関わるステロイドホルモンの役割について意外と知られていません。筋肉をつけるためにはお肉を食べた方が良い? お肉を食べなければ痩せる? など、筋肉増強や委縮に関連するメカニズムと食肉の摂取との関係を解説いたします。

酵母(菌)が作り出す“あわあわ”についてお話します。酵母(菌)がほどよい具合に発酵した “できたてのふっくらパン”は、古代エジプトから世界中の人々に広まって、しかもどこの国に行っても“おいし〜い”と愛されています。それはどうしてか。それが(科学的に)わかるようなセミナーにしたいと思います。

私たちのからだは、日々酸化を受け、雨風にさらされた釘のようにサビていきますが、生まれながらに備わっている抗酸化パワーによってサビるのを防いでいます。しかしながら、強い酸化を受けたり、歳をとるにつれてこのパワーも足りなくなります。そこで活躍するのが食の抗酸化パワーです。食に秘められた抗酸化パワーの魅力について紹介します。

新型コロナウイルス感染症の流行で、不安な日々を過ごしている人も多いと思います。3密を避け、マスクの着用や手洗いなどによりしっかりと感染対策を行っていたとしても感染するリスクはあります。感染しても負けないために、免疫力を高めることが重要です。免疫力アップの鍵のひとつは、食事です。どのような食事をすれば良いのか、免疫力を上げる食素材にはどのようなものがあるのか、効率良く免疫力を上げるためにはどのような調理方法があるかなど、免疫力を高める食事のポイントについて紹介します。

最近はネット上で簡単に健康に関する情報を入手できるようになりました。しかし、それらの中には「デマ」も含まれており、自分で自分の健康を守っていくためには健康に関する情報を扱う能力“ヘルスリテラシー”が大切です。本セミナーでは、これからの時代を生きるための健康情報の取り扱いについて、大切なポイントをお伝えします。

近年、健康分野においても行動経済学が取り入れられてきています。例えば、夏休みの宿題を後回しにする人は、将来肥満になる人の割合が高いことが示されています。この理由は一体なんでしょうか? 実は、人間には後で苦労することがわかっていても、つい目先の楽をとってしまう傾向があることがわかっています。本セミナーでは、このような健康に関する行動経済学の理論を紹介します。皆さんだったらどっちを選択するのか、実際にその理論を体験してみましょう。

バランスよく食べましょう! とよく言われますが、この言葉を聞いた時に何が思い浮かぶでしょうか。野菜や魚を食べる、3食しっかり食べる…などを思い浮かべる人が多いかもしれません。では、バランスの良い食事とは、何を根拠に決められるのでしょうか。この講義では、人々の健康に関係する食事のバランスについて科学的な観点からわかりやすく紹介します。

運動部に所属している皆さんの中には、筋力トレーニング (筋トレ) に取り組んでいる人も多いと思います。しかしながら、今のやり方で正しいのか不安に思いながら実施している人も多いのではないでしょうか。この講座では、筋トレに取り組むときの考え方からより良い実践方法まで、講義や実践などご要望に合わせた形式で開催致します。ライバル校に差をつけたい皆さん,ぜひご受講ください。【運動系部活動に所属する中高生向け】

食や栄養のスペシャリストとして病院や福祉施設、学校などで働く管理栄養士は、健康の維持や疾病の予防・治療に関わり、栄養教育や食の管理をしています。栄養教育では、自身の経験だけに頼らず、行動科学に沿った栄養教育をすることで、行動を予測し、食行動が変わることを支援します。管理栄養士の仕事を通して、大学の授業を体験してみませんか。

初めての離乳食の進め方が不安であったり、子どもの偏食に悩んでいたり、健康的に体重を落とすには何を食べたらよいのか等、食に関する悩みは多く、管理栄養士はそれらを支援することが仕事です。栄養学を学ぶことで、根拠のある説明をすると、対象者は納得して受け入れることができます。幼児に対する食育を、管理栄養士側の視点で体験してみませんか。

スポーツ科学の研究成果がオリンピックの日本代表選手の活躍を支えています。また、肥満を代表とする生活習慣病の予防・改善など、健康の保持増進のために適した食事あるいは運動の方法などは、健康科学という学問で探究されています。本セミナーでは、スポーツ・健康科学に興味を持ってもらうべく、できるだけ新しいスポーツ・健康科学に関する研究結果をお知らせします。もしかしたら、みなさんが普段行っていることやお持ちの教科書に書かれていることとは異なる話もあるかもしれません。【スポーツや健康に興味を持っている中高生向け、保健体育,特別活動の科目対応】

持久力を高めたり、身体づくりをするためには、トレーニングだけでなく、栄養がとても大切です。本セミナーでは、科学的根拠に基づいて、何をどれだけ食べれば良いのかという視点で、スポーツ栄養のメソッドをお知らせします。今日からでも使えるメソッドばかりです!!【運動系部活動に所属する中高生向け、保健体育、特別活動の科目対応】

体力を高めたり、疲労を回復したり、心身のコンディションを整える活動のことをコンディショニングと言います。本セミナーでは、科学的根拠に基づいて、どのコンディショニング活動をどのように行うと良いかという視点で、コンディショニングのメソッドをお知らせします。今日からでも使えるメソッドばかりです!!【運動系部活動に所属する中高生向け、保健体育、特別活動の科目対応】

食物によって引き起こされる食物アレルギーは、生まれたばかりの赤ちゃんから大人まで広く認められ、最近増加傾向にあります。アレルギー全体では新しい有効な薬が続々と開発されていますが、食物アレルギーについては、現在どの程度まで食べられるか、不足する栄養素を如何に補うかなど、細やかな対応をする必要があります。そのためには、医師や看護師に加えて、アレルギーに関する十分な知識をもった管理栄養士も含めたチームで対応することが重要ですが、全国的に不足しているのが現状です。食物アレルギーとその対応、管理栄養士が取得できるアレルギー認定資格とチームでの対応についてお話します。

C-01 狩猟学のススメ

伊吾田 宏正

シカなどによる農林業被害が問題となっています。このため個体数管理が必要ですが狩猟者は減少してしまいました。野生動物は食肉など資源価値を持っています。その生態を調べ、管理手法や資源利用の体制、担い手育成を考える狩猟学の構築が求められています。

過剰に増えすぎたエゾシカは年間数十億円の農林業被害や数千件の交通事故を引き起こしています。また、自然植生への悪影響も問題となっています。北海道では個体数調整に取り組んでいますが、目標水準まで減少させることはできていません。エゾシカと人間のよりよい関係づくりのため、今、何が必要か考えます。

現在、人と野生動物の軋轢が大きな問題となっています。問題を解決・改善に導くには、様々な視点で問題について調べる必要があります。野生動物の調査・研究は、様々な方法がある中で、主に野外調査で得られた野生動物の様々な情報・試料から、鳥獣管理のための情報を得て管理の方向性を探ることが主流です。また、被害対策や普及啓発を通じて、人と野生動物の軋轢問題の改善も実施されています。 本講義では、本学環境共生学類で行われている野生動物の調査・研究について紹介します。そして。人と野生動物との問題について一緒に考えていきましょう。

人工衛星やドローンに取り付けたセンサ(カメラ)から地球全体、あるいは地域全体を見ることによっていろいろなことが分かります。地球温暖化の状況や予測など地球規模の話から水鳥のカウントまでさまざまな事例を紹介します。

北海道には数千頭のヒグマが生息していますが、毎年600頭ほどが有害獣として駆除されています。人が暮らすエリアや農地に出没し、農作物を食害すること、時に人身事故が発生することが原因です。なぜ、ヒグマは出没するのでしょうか。ヒグマの生態や人の暮らしの変化という視点から、出没の原因を考えてみましょう。

札幌市は人口全国第4位の政令指定都市です。また豊かな自然に囲まれた住み心地のよい街でもあります。しかし豊かな自然はヒグマをはじめとする野生動物にとっても住みやすい環境です。市街地のすぐ近くに野生動物が暮らす街、それが札幌ということになります。ニュースや新聞でご存じの通り、ヒグマが札幌の市街地に侵入する事例が増えています。身近な自然の生物多様性を保全しながら、ヒグマのような野生動物が問題を起こさず共存するためには、どうしたらよいかを考えてみましょう。

自然の中で動物たちは同じ場所で生活している。人と人との関係もいろいろあるように動物同士にもいろいろある。例えば、キツネ、タヌキは餌となる食料も行動スタイルも似ている。さらに外国からアライグマが定着してからは関係がより複雑になってくる。そのようなキツネ、タヌキ、アライグマの生活についてGPSなど様々な機器で調べてみる方法について紹介します。

経済活動がないと地域は成り立っていかない。しかし、生物多様性保全の視点で見ると経済活動は脅威である。ボルネオ島ではオイルパームの拡大が生物多様性保全に負荷を与えているが、一方で、地域では唯一の現金収入であることも見られる。果たして、本当のワルモノとは何なのか。生物多様性の保全のためにはどのような考え方が必要なのか。

野生動物の政策は客観的な「事実」データに基づいて計画立案されるべきである。しかし、現実はそうなっていないこともある。「事実」データは関係者の結束を強くし、最終的に野生動物管理を成功に結びつけることができる。シカに装着したGPS首輪データの共有プロジェクトや、客観的なデータに基づいたシカの捕獲、鳥獣害対策に向けた地域の結束の事例などを紹介する。

水道の蛇口をひねれば無限のように流れ出る水も、実際には限りある資源の一つです。あらゆる生命の維持に必要とされる水は、質的にも量的にも確保されることが重要です。特に私たち人間は、様々な生産活動のために水資源を利用しています。地球上の水循環から地域の水供給利用に関する実態を通じて、人間が生活するうえでの水資源について考えてみましょう。

人間生活の身近にあった多くの湿地は、消失もしくは減少してきています。様々な生態系サービスをもたらす湿地について、世界から日本における現状を示すとともに、湿地の保全活動についても実例を挙げながら解説します。

いつも何気なく見ている天気予報はどのような過程を経てできているのであろうか。また、天気予報に出てくる言葉はどのような意味があるのか。当たらない?週間予報に意味はあるのか。そんな、皆さんが疑問に思うところを解説して、皆さんの今までの天気予報の見方や活用を変えたいと思います。

気候変化の影響で毎年のように各地で甚大な気象災害が生じています。もはや「天災は忘れた頃にやってくる」(寺田寅彦)という言葉は最近死語になりつつあります。しかしながら、地震とは異なり、気象災害は知識があれば、人命を守ることが出来ます。この知識、つまり、情報の取得や活用について本セミナーでは解説したいと思います。また、日ごろからの防災に関する知識も併せて紹介します。

気候変化により甚大な気象災害が増加してきました。また、地震や津波もいつ起こるか分かりません。それらの災害に備えたマイタイムライン作成やDIG(Disaster:災害、Imagination:想像力、Game:ゲーム)を通して、「自分の身は自分が守る」姿勢を身につけましょう。皆さんの住むまちを理解し、防災意識を掘り起こします。

天気が悪くなると頭痛がするなど聞いたことはありませんか。天気の変化に密接に関係して発病や病状が悪化することを気象病とよびます。また、季節変化や特定の季節に生じる病気は季節病とよばれます。これらの中には知識があれば、軽減・回避できることが多く存在します。最新の研究、最近増加傾向にある熱中症や紫外線の肌トラブルなどの事例を用いて解説します。

皆さんは海洋大循環についてご存じでしょうか?大気のような速い流れではなく、海洋には1000~2000年かけて地球を廻る壮大な流れが存在し、その流れが地球の気候の安定化に繋がっています。その仕組みについて実験を交えながら解説いたします。

動物は絶えず動いています。イヌやネコなどのペットを飼っている場合は、しっぽの動きや顔の表情などで嬉しいのか寂しいのかが分かる飼い主も多いでしょう。もちろん昆虫から哺乳類まで、すべての野生動物の動きにも色々な意味があります。私は、動物の動きにどうような意味があるのかを研究しています(動物行動学といいます)。動物の行動の意味を明らかにすることは、単純に楽しいだけでなく、希少種の保全や外来種の駆除、つまり生物多様性保全にも役立ちます。みなさんも動物の動きについて研究してみませんか?

オオカミは生態系の頂点に君臨する捕食者である。オオカミが存在しない生態系において増え過ぎた草食有蹄類の食害によって、植物生態系が衰退し、よって鳥類、昆虫類を含めた生態系全体に深刻な影響を及ぼしている。当研究室ではアメリカ・イエローストーン国立公園の過去と現在の比較、およびオオカミが生息するモンゴルHustai国立公園と北海道知床国立公園の比較研究によって、「頂点捕食者が存在する生態系と存在しない生態系」の違いを明らかにするために調査研究を行っている。

フェンスエコロジーの視点から、フェンスと野生動物の関係だけでなく、フェンスと人間との関わりについて理解を深めることも重要である。多くのフェンスは、密猟や違法な資源採取を防ぐためだけでなく、人間と野生動物の接触を予測し、野生動物と家畜の間で病気が伝染するのを防ぐために作られている。しかし、フェンスによって多くの野生動物の季節移動が妨げられ、繁殖にまで影響が及んでいる。ここで扱っている「フェンス」とはフェンスだけではなく、道路、橋などの人間が造ってインフラが全部対象になっている。また、保護用柵の場合、フェンスの建設にかかる莫大な費用や、大規模な生息地の劣化と、私用の土地区画のみならず、国立保護区や自然保護区などによっても領域が分断されるなどの、フェンスによるコストも生じている。このように、フェンスによってもたらされる野生動物と人間へのコストと利益を踏まえ、移動性動物の保全に向けた連続性生息地の確保に、体系的で持続可能な措置を講じるためには、地域社会や土地所有者、保護団体、政府、およびその他の利害関係者と広範な協議を行うことが不可欠である。人間活動の活発さが増す現代で、ただちに主要な管理者が行動を起こし、この早期警告情報を利用したイニシアティブを促進し、野生動物の大移動やそれらを取り囲む生態系の崩壊を回避するために最善で実行可能な手法について戦略を立てることが求められている。

遊牧民は長い間、季節の移り変わりに応じて、また乾季と雨季、干ばつが襲った年など気候変動に応じて適切な距離を移動しながら、愛する家畜と家族を守ってきた。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって、モンゴルは2020年 3 月 10 日から国境を閉鎖し、国内でロックダウンを実施した。遊牧民は羊毛、カシミア、肉製品などの原材料を工場に売ることができません。遊牧民は生計を羊毛の販売に依存していますが、現在、誰も購入していないため、価格は下落しています。彼らは、パンデミックによってもたらされた課題を克服できるように、市場価格を制御することで政府に支援を求めている。ウランバートル周辺に住む遊牧民の収入が 40~ 50% の打撃を受けたと推定されている。パンデミックがもたらすモンゴルの遊牧民の生活のへの影響を考える。

北海道では希少な自然環境が豊富に存在し、また生産力の高い農業が実施されています。これらの背景には、北海道ならではの地質や土壌といった「地」の大きな個性があります。本講義では、北海道の「地」が自然や農業を際立たせる役割について解説し、北海道の魅力が生まれる理由について紹介します。

自然界には実に様々なつながりがあります。食物連鎖のような食べる食べられるというつながりや、「岩石と動物」や「大気と植物」のように一見すると関係していないように見えるつながりもあります。そして、さらにこれらは人類ともつながり、地球上で大きな循環の輪の中にあります。このような自然のつながりやその仕組み、そしてその観点の重要性について分かりやすく解説します。

地球温暖化の具体的なメカニズムや地球環境の変化はどのように進行しているでしょうか。身近なフィールド観測結果や国際的な評価報告書を用いて、一緒に地球の環境を探ってみましょう。また、持続可能な未来のためにどうするべきか、一緒に考えましょう。

北海道は世界と直接つながっている!?北海度と世界とを繋いでくれる「どこでもドア」を、見つけて、ノックして、ちょっと開けてみて、向こう側を覗いてみませんか。実は北海道には、私たちの周りには、「どこでもドア」がたくさんあるのです。

皆さん、英語は好きですか?なぜ日本では他の言語でなくて英語を勉強することが多いのでしょうか。どうして高校で英語を勉強するのでしょうか。なぜ小学校から英語を学ぶ必要があるのでしょうか。そもそも英語を勉強する意味、目的は何なのでしょう。

2022年から必修化された地理総合。その中にはGIS(地理情報システム)の活用が盛りこまれています。高校の先生方の中にはGISに興味はあるけれど、実際どのようなもので、どのように活用されているかわからない、学校でGISの授業を行ってみたいという方がいらっしゃるかもしれません。そこで、GISはどんなものか?、どのように活用できるのか?等を解説します。GISを実際に使いながら行いたい、学校教育での活用を検討したいというようなことも相談させて頂ければと思います。

D-01 野生動物医学とは?

浅川 満彦

本科目担当者、野生動物医学会理事、英国野生動物医学専門職修士(日本の獣医大では唯一)、野生動物医学センター施設担当などの立場からこの新興学問分野を概説し、就職を含め将来展望をする。その際、2021年6月刊『野生動物医学への挑戦-寄生虫・感染症・ワンヘルス』(東京大学出版会)および同年12月刊『野生動物の法獣医学-もの言わぬ死体の叫び』(地人書館)の概要紹介も兼ねる。

獣医と野生動物とでは傷病野生動物の救護が連想されるが、その活動の問題点とは?望ましい活動にするためには?その関連職域とは?野生動物医学センター施設担当として経験をした事例を扱い、2021年6月刊『野生動物医学への挑戦-寄生虫・感染症・ワンヘルス』(東京大学出版会)および同年12月刊『野生動物の法獣医学-もの言わぬ死体の叫び』(地人書館)の、特に、就職や専門医などの内容を中心に紹介する。

COVID-19の影響で獣医師会や獣医学会で盛んに喧伝されるワンヘルス。この概念の中心は野生動物由来あるいは介在する感染症対策が肝要。これについて概説する。野生動物医学センター施設担当として経験をした事例を扱い、2021年6月刊『野生動物医学への挑戦-寄生虫・感染症・ワンヘルス』(東京大学出版会)および同年12月刊『野生動物の法獣医学-もの言わぬ死体の叫び』(地人書館)の、特に、野生鳥類の感染症内容を中心に紹介する。

エキゾチックペット由来の動物などが日本で外来種化し、それにつれ、国外の感染症が密かに蔓延している?野生動物医学センター施設担当として経験をした内容を概説する。2021年6月刊『野生動物医学への挑戦-寄生虫・感染症・ワンヘルス』(東京大学出版会)および同年12月刊『野生動物の法獣医学-もの言わぬ死体の叫び』(地人書館)の、特に、野生鳥類の寄生虫とその疾病の内容を中心に紹介する。

私の専門は寄生虫病の生物地理学。そのために、野生動物を研究材料にしてきました。しかし、研究開始当初とは異なり、多くの動物が絶滅危惧に。大昔からいた寄生虫も絶滅してしまうのか?そうなるとどのような問題が起きるのだろうか。野生動物医学センター施設担当として経験をした事例を扱い、2021年6月刊『野生動物医学への挑戦-寄生虫・感染症・ワンヘルス』(東京大学出版会)および同年12月刊『野生動物の法獣医学-もの言わぬ死体の叫び』(地人書館)の内容を中心に紹介する。

野生動物医学センター施設では傷病野生鳥獣も受け入れていたが、そのうち、死体も運び込まれ、死因を調べてくれという依頼が急増。獣医学には、法医学のような分野が無い中で、苦悩。そして、法獣医学の必要性が生じた。その経験事例を扱い、2021年6月刊『野生動物医学への挑戦-寄生虫・感染症・ワンヘルス』(東京大学出版会)および同年12月刊『野生動物の法獣医学-もの言わぬ死体の叫び』(地人書館)などの内容を中心に紹介する。加えて、小学館週刊少年サンデーで連載中『ラストカルト』(浅山わかび作)作成の舞台裏もコッソリ・・・。

マラリアやアフリカ睡眠病といった熱帯感染症に関する総論の講義を行う。また2020年ノーベル化学賞を受賞したCRISPR/Cas9システムの概要と、講師である石﨑が確立したマラリア原虫の遺伝子編集を可能とする応用例についても紹介する。講義を通して一人でも多くの学生が日本国外の熱帯感染症や基礎研究に興味を持ってもらえると嬉しいです。

みなさんは、「遺伝子」という言葉を良く耳にすると思います。似たような言葉でDNA、ゲノムという言葉もあります。この言葉達は何を示す言葉でしょう?それぞれの言葉の意味の違いはどういうことでしょう?また、これらは私たちの体のどの部分で、どのような役目をもっているのでしょう?身近なことを遺伝子(設計図)から考えてみるそんなお話をしてみたいと思います。今回は、「遺伝子」について一緒に勉強してみましょう!

みなさんは、バクテリオファージについて知っていますよね?教科書の写真で見た、あの月面着陸しそうな宇宙船のようなものです。私達の身の回りは、細菌という小さな生物で溢れています。細菌は、良いものもいれば、悪いものもいます。悪い細菌が私達の体に入っていっぱい増えると、私達の体を傷つけられ病気になります。そんな時、薬を飲みますね。それで細菌を殺せれば良いのですが、近年、どんな薬にも負けない細菌(薬剤耐性菌)が増えてきています。人類は、ピンチに立たされているんです。そんな細菌にも実は天敵となるウイルスがあります。それがバクテリオファージです。バクテリオファージは、細菌だけ殺して、私達には無害です。私達はバクテリオファージを悪い細菌を殺す薬として開発して役立てようとしています。

動物には病気を起こさないけれど、ヒトには病気を起こす細菌が存在しています。こうした細菌の中には、ヒトに使用される薬が効かない細菌が存在しています。こうした細菌が、食品や動物との接触によりヒトに病気を起こすことがあり、世界的な問題となっています。このトピックについて、主に動物由来の食中毒を起こす細菌を中心として、「現状」と「今後の対策」について紹介します。

蚊やマダニは人を吸血するだけではなく、様々な病気を媒介します。そうした病気の多くは人と動物の間で行き来をし、“人獣共通感染症”と呼ばれます。今回は、2014年東京で流行の見られた、蚊により媒介されるデング熱や、近年、日本国内で報告の続くマダニ媒介性のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、ダニ媒介性脳炎について紹介したいと思います。

生産動物の疾病発生と飼養環境が密接に関係していることが分かってきている。すなわち、遺伝病を除いたほとんどの疾病は、人が管理する飼養環境の中の幾つかのリスク要因が絡み合って起こる多因子性の事象と考えられる。恒常的に健康な畜産物の生産を行うためには、疾病予防の実践が不可欠である。本セミナーでは、乳牛を例にとり疾病発生メカニズムや予防の概念について説明するとともに、飼養環境における代表的なリスク要因について概説する。

ウシやヒツジなどの反芻動物はどうして草食のみで栄養を満たすことができるのでしょうか。その秘密は4つある胃のうち、巨大な発酵タンクである第一胃における微生物との共生にあります。私たちの消化することのできない植物繊維を分解して、宿主である反芻動物のエネルギー源や窒素源がつくられ、肉や乳の産生へと栄養が供給されているのです。

味覚細胞というと舌の味蕾や五つの味覚を思い出すと思いますが、味覚受容器は消化管の他の場所にも分布しています。そのシグナルは直接意識レベルに上がることはありませんが、消化管ホルモンの分泌や迷走神経を介して私たちの食べる量の調節に関わっています。そのしくみに異常があると過食などが起こり、生活習慣病と呼ばれる肥満にもなる可能性があります。

筋肉つまり骨格筋は運動するときに大活躍しますが、実はそれだけの臓器じゃないのです。肝臓も脂肪組織も単にグルコースや脂肪を貯めるだけの臓器じゃないのです。これらの臓器は積極的に活性化因子を放出し、他の臓器の機能を調節する司令塔としての役割があることが近年の研究で次々に明らかになってきています。生物学の授業で、自律神経や内分泌腺(ホルモン分泌臓器)の役割を勉強していると思いますが、今まで“調節されている”と思われてきた臓器が実は“調節している”ということを一緒に勉強し、臓器間でやり取りされる会話をもう少し詳しく聞いてみませんか?

獣医師のイメージってどんなでしょうか?おそらく動物のお医者さんのイメージが強いのではないでしょうか?確かに獣医さんの一つの大きな仕事ですが、実は獣医師の仕事はもっと幅広いです。私が働いている基礎獣医学の分野では、広く動物を“知る”ことで、ヒトを含めたすべての動物の医療に貢献する仕事をしています。“基礎研究”って聞くとなんか小難しい印象を持ってしまうと思いますが、仕組みを理解することこそ新しい治療法を開発するのに絶対必要なのです。この授業では私の今取り組んでいる糖尿病との戦いを例に、獣医学の大学で行われている基礎獣医学研究ってどんなものなのかを紹介いたします。

大食細胞といわれるマクロファージは細菌を食べて感染から体を守ります。また、他の免疫細胞を刺激して細菌よりもっと小さなウイルスとも戦います。マクロファージは外部からの侵入者だけでなく、臓器のメンテナンスにも大切な役割を果たしています。マクロファージが正常に働けなくなると、糖尿病や動脈硬化といったメタボになったり、腎結石症やアルツハイマー病やがんを悪化させたりもします。そんな体にとって大切なマクロファージの働きを紹介します。

みなさんが何気なく飲む牛乳、なぜ白く見えるのでしょうか。そして牛はどのようにしてミルクを作っているのでしょうか。ミルクが合成されるまで、また、ミルクの合成に伴う牛の病気について、獣医学的な視点も交えながらわかりやすくお話しします。

普段みなさんが口にしているお肉、乳製品などを生産するための生産動物と、その健康を守っている獣医師についてご存知ですか?本当は身近で役に立っていますが、身近にいないのでよく知らない生産動物と、みなさんの食の安全を支えている獣医師について紹介します。

乳を生産する牛は、毎日平均30リットルもの牛乳を生産しています。乳は血液から作られるため、乳中の様々な成分から多くのことがわかります。また、近年は、牛に活動を記録するための道具が体に取り付けられ、人の健康管理と同じように利用されてきています。それらの道具や検査を介して、牛から多くのデータが日々集められています。それらのデータから何がわかるのか、牛の健康管理、農場の生産管理にどのように利用されているのか紹介します。

私たちの体は、多様な微生物が共存してバランスを取っていることで健康を維持しています。微生物との共存バランンスが乱れると体に様々な影響をもたらします。講演では、免疫という観点から微生物との共存について解説します。

目に見えない微生物は身の回りに多く存在しています。その中でも細菌はヒト、動物、その他の生き物、モノの動きとともに運ばれていきます。多くの細菌は病気を引き起こすことなないですが、中には感染症の治療に使われる抗生物質が効かない細菌(耐性菌)がおり、問題となっております。日常環境、自然環境にいる耐性菌がどんなやつなのか、また運び手は何?を調べることで、衛生環境についても考えることが出来るでしょう。

乳牛は草などの植物資源をエサにして、おいしくて栄養価の高いミルクを生産してくれます。高能力な乳牛は、たくさんのエネルギーを乳に消費するため、健康的に飼うには高度な栄養管理の実践が必要です。本セミナーでは、乳牛がミルクを作り出すメカニズム(栄養素の流れやホルモンの働き)から、病気を予防するための栄養管理の考え方について概説します。

人と動物集団で感染症が発生した場合、あるいは発生前の予防で重要となるのは、何をどうしたらいいのか、効率の良い制圧方法を客観的に示すことです。疫学は統計学・数学、コンピュータ技術、また文系的な手法を使って総合的に取るべき道を示す学問です。セミナーでは、講師が体験した国内外の事例を用いて説明します。

犬猫の手術といえば、どんなものを想像しますか?避妊手術や骨折の手術がパッとイメージしやすいでしょう。でも、犬猫の病気は人間と同じように複雑化してきており、それに伴って手術もいろんな種類があります。犬猫でしかしないような手術ももちろんあります。さらに、手術をしたら終わりではありません。手術後の管理も大事で、特に食事管理に関しては犬猫ならではの重要な治療になります。そういったことを、最新鋭の腹腔鏡手術なども含めてご紹介いたします。

動物の身体は生物の基本構造単位である細胞から出来ています。細胞は目的に応じた機能発現のために集合して組織を形成します。様々な組織構造を顕微鏡で観察する学問として組織学があり、正常な組織学の理解は病気の診断にも繋がります。近年では顕微鏡を用いないタブレットによる組織観察や3次元像観察など新たな観察方法が開発されています。セミナーでは最新の組織観察方法や獣医療での応用例を紹介します。

動物細胞の結合組織はコラーゲンと呼ばれる蛋白質から構成されています。一般的に骨はカルシウムの塊と思われていますが、実際にはコラーゲン蛋白質に付着したカルシウムから出来ています。他にも皮膚のハリや血管の維持にコラーゲン蛋白質は多く活躍しています。セミナーではコラーゲンの紹介と医療面からの重要性について紹介します。

E-01 殺処分ゼロを目標にする取り組み

川添 敏弘

日本は世界で最も動物の殺処分が少ない国になっています。だけど、殺処分しないで「生かす」だけでは動物たちがかわいそうです。実は日本は、まだまだたくさんの課題を抱えているのです。イギリスやドイツなど動物福祉先進国でも、やはり多くの課題を抱えています。動物たちの殺処分は、飼い主の意識だけではなく日本社会の問題でもあります。地域の愛護団体は多くの人の助けを必要としていています。これからの保護動物の福祉について、私たちにできることを一緒に考えていきましょう。

札幌には「北海道盲導犬協会」があります。盲導犬に出会った時、私たちはどのようにすれば良いのでしょうか。盲導犬は仕事をやっていて“かわいそう”な存在なのでしょうか。盲導犬のうんちはどのように処理しているのでしょうか。盲導犬はレストランに入れるのでしょうか。皆さんが「目が見えないこと」「盲導犬のこと」を理解することで、障がい者の外出へのハードルが低くなります。盲導犬の役割について一緒に考えてみましょう。

犬のことをよくわかってるつもりでも、実は犬の気持ちを間違って捕らえている飼い主さんは少なくありません。また、犬は悪いことをしたら怒ってしつけるんだと思っている飼い主さんも多くいます。そうならないためには、犬のボディランゲージを正しく判断して、適切なしつけの方法を身につける必要があります。この講義では、犬のしつけの入門編を行います。

動物の高齢化や獣医療の発展により、動物のリハビリテーションが注目されています。この分野に興味を持って本学に入学する学生も多く、附属動物医療センターで実際に動物のリハビリにたずさわり、歩行できなかった動物が手術と術後のリハビリによって日々回復し、歩行できるようになるのを経験しています。このセミナーでは、実際にリハビリを行なっている動画を見ながら、さまざまな治療法・効果についてお話しします。

私達ヒトやペットが吸い込む空気には、ほとんどの場合、眼に見えない小さな粒子が存在します。その代表的な粒子を含む空気であるエアロゾルは、病気を広げたり、スプレーで薬を運んだりと、私達の生活と密接な関係です。一方でエアロゾルは、地球規模でも気候変動に影響があるのではといった説があり、部屋の中から地球全体にわたって、私達や動物の健康に影響を及ぼす可能性があります。このセミナーでは、エアロゾルを『見て』いただくことにより、地球と動物の健康について一緒に考えていただきます。

皆さんは動物福祉と動物愛護との違いをご存知でしょうか?動物福祉という言葉は最近よく耳にするようになってきましたが、正しく理解されていない方も多いのではないでしょうか。動物福祉とはどのような考えに基づくものなのか、そして欧米における動物福祉の実情と日本における現状について、お話します。

みなさんが日々の生活でストレスを感じているように、動物も様々なストレスにさらされながら生活しています。しかし、動物は人間の様にストレスを感じていると言葉で訴えることはできません。そのため、我々は動物がどのようなストレスをどのくらい感じているのかを、なんとかして読み取る必要があります。このセミナーでは牛などの家畜から、伴侶動物、動物園動物まで様々な動物から、ストレスを科学的に評価する方法や応用事例について解説します。

私たちの身体にはもともと、ケガをしたときや病原菌に感染したときに、それらと戦ういろいろな『武器』を持っています。足をすりむいちゃった!なんで血が止まるんだろう?ケガしたところにバイ菌が入っちゃった!なんで身体中バイ菌だらけにならないんだろう?こんなときの『生体の武器』=『生体防御反応』についてお話しします。

動物看護師さんのかかわりが期待されている歯のケアについてお話したいと思います。犬の歯の解剖や、犬の罹患がとても多い歯周病や予防の為の効果的なケアについてセミナーをします。皆で犬の歯の事を学習しましょう!歯の模型を用意します。

動物看護師さんの業務の中に衛生管理があります。今回は衛生管理の中の重要な言葉である洗浄・消毒・滅菌についてセミナーをおこないます。その後手洗いを行ってみます。自分のいつもの手洗いをおこなってみて、洗い残し部分をチェックしてみましょう。

海にはさまざまな生き物たちは陸上の動物とは違ったコミュニケーション方法を用いています。彼らの行動を理解し、海の動物たちと触れ合いましょう。実際に海の動物を観察して、研究に参加しましょう。